林太郎とエリス


夏のある午後、
つがいの鳶が並んで海を眺めている。

移り変わる四季を海の様相に感じながら
林太郎とエリスの時間は静かに進み、

幾年の年月を経て、遂にその時が来た。


「僕はもう行かなければなりません。」




06AUG15 CHIGASAKI 00401


06AUG15 CHIGASAKI 00602


06AUG15 CHIGASAKI 002c




エリスは今、一羽だ。
いつもそこに居た林太郎は
最早旅立ってしまった。

世界の理は、
何者にも平等であるのだ。

06AUG15 CHIGASAKI 01203




然しエリスには、
その現実を受け止める事は能わなかった。

エリスは林太郎の姿を探し

何処までも、何処までも、
大空をぐんぐんと昇っていった。


06AUG15 CHIGASAKI 0621a


03AUG15 CHIGASAKI 1422b




幻だったのだろうか。
その時、疲労で朦朧としたエリスの目に、
太陽を目指して飛ぶ林太郎の姿が映った。

エリスはもう目にいっぱいの涙をためながら、
無我夢中で林太郎を追って飛んだ。

「林太郎さん! 私を置いて行かないで下さい!」






追いかけても、追いかけても、
エリスは決して林太郎には追いつけなかった。

この現世に於いては、
先に旅立った者に追いつく法などありはしないのだ。

それでもエリスは飛び続けた。






やがて、エリスの身体は、

03AUG15 CHIGASAKI 257aa



強烈な太陽風に粉々にされて、

03AUG15 CHIGASAKI 258bb



光の粒子となって大気に散乱した。

03AUG15 CHIGASAKI 252cc










エリスの身体は自然へ還った。


だが、
魂は林太郎のそれと共に在り、
今でも一緒に海を見ている。



よううやく手に入れた永遠の安息を楽しむかのように・・・


















いつも読んでくださっている皆様、有難う御座います。

少女とワンコ (AUG15)


以下、2012年6月に書いた掌編です。
登場人物のふたりはとても幸せです。
肉体が滅んだ後も、
こうして一緒にいられるのですから。









HANASORA Stories

少女とワンコ




むかし

丹沢の山の中に
少女とワンコが暮らしていました


二人は
本当の姉弟のように仲良しで

いつも一緒に
空をみていました




ずっと一緒にいよう

うん、僕、決して離れはしない









C29MAY12 237statue






















コピー ~ 29MAY12 238endtitle


続・誇り高き死


ある岩場で
偶然目にした隻腕のこの蟹。

<私は彼を知っている…>


21JULY15 CHIGASAKI 013a



去年の夏のことだ。
私はこの蟹の
身命を賭した生き様を目の当たりにした。

蟹は、傷ついた妻を救う為、
命を懸けて荒波に立ち向い……

そして敗れた。

波に飲まれ、天地がグルグルと回転する中、
もがきながらも蟹は、
妻を抱いたその手を決して離しはしなかった。

そう、離しはしなかったのだ。



大波が去って気が付いた時、
蟹は浜辺に打ち上げられていた。
そこに妻の姿はなく、

妻を抱いた彼の腕は、
根本から無くなっていた。



これからこの蟹は
どのように生きてゆくのだろうか。

妻を亡くし、腕を無くしたその姿は痛々しく、
悲壮感に満ちている。
然しこの小さな勇者は、
重たい身体を引きずりながらも
懸命に今日を生きようとしている。





S105SEP14 SHN 043


いつも読んでくださっている皆様、有難う御座います。

ある瞬間を超えて


新九郎は今、
一人のご婦人と神父を車に乗せて、
St. PATRICK 病院へと急いでいる。

カリフォルニア州の交通は渋滞が多く
新九郎はイライラとハンドルを
軽く指で叩いているが、
後部座席のご婦人と神父は
世間話に花を咲かせている。

神父にはご婦人に伝えるべき重大な用件、
それも、足も竦むような深刻な打明け話がるはずだが、
彼は一向、其の事に触れようとはしない。
新九郎はその事に多少の疑問を抱きながらも、
専門的にはその対応が指示されているのかも知れない、
などと考えて、余計な気回しをしないよう努めた。

やがて車は病院に到着し、
新九郎はその先に確実に待っている、
ご婦人に叩き付けられるであろう、
殆ど理不尽な暴力ともいえる衝撃を思い、
じっと身を強張らせた。

ご婦人は神父と共に医師と面会した。
医師の口からは、
途切れ途切れに次のような説明がなされる。
その表情は鉛のように暗く、重い。

40分間… 懸命に… 
御主人をこちら側に連れ戻そうとしたのですが…


ご婦人の表情が
見る見る間に曇ってゆく。

我々も最善を尽くして…
出来る限りのことを…


ご婦人は最早、全てを見通していた。
それでも現実を受け入れられない
困惑に満ちたその魂は、
もう既にわかっている答えを求めて
叫ぶように周囲に問いかける。

「この人たちは一体何を言っているの!?」

ご婦人は、何度も何度も、
殆ど狂気に近い叫びで
周囲に問い続けている。
然し既に、
状況はその問いに対する回答を
非情なまでに明確に示しているのだ。

ご婦人は、
神父を伴っての病院出向に若干の不安はあったはずだが、
ここまで最悪の事態は予測してなかった、否、
考えたくはなかったはずだ。
それが今!現実として!
容赦なくこの気の毒なご婦人の面前に
一方的に突きつけられている……!
ご婦人は正気を失い、
まるで柳の枝がハサミで切られたかのように
真っ直ぐ下に崩れ落ちた。

新九郎は、
人間が絶対的な絶望に襲われる瞬間をまざまざと見た。
身体中の力が抜け落ち、虚脱と真空に、
ご婦人を構成する精神も肉体も
全てが粉々に砕け散り、
その魂の全てが真っ黒な墨で塗り潰され、
怒りと困惑と悲しみに焼かれて、
踏みつけられ、
のたうち回るまるっきりの全てを見た。
こんな凄まじい瞬間には、
人生のうちで何度も立ち合う事はないだろう。
新九郎は職務の全てを投げ出して
その場からとにかく
逃げ出したい気持ちでいっぱいになった。

然しほんのちょっとの理性が
新九郎をその場に留めた。

新九郎は、かつて自分にも訪れた
この実に全くの同じ状況を思い出して、
何とか自身を一つにまとめ上げる事が出来た。




この不幸なご婦人は、
きっと誠実な神父が支えて下さる事だろう。
そして残された家族、友人、ご婦人の周囲の皆が、
出来る限りの手を差し伸べて下さるはずだ。

そうしてご婦人はきっと、
一対一で神と対話する事になる。
神との真っ向からの対話は、
きっとこのご婦人の心を救済する事になるはずだ。
それからご婦人は知る事となる。

神とは、天の神のみでなくて、
家族や友人、
この世界全ての自然や生命をも指すものである、と。

救われるとは、
周囲に対する開眼であると私は考える。
それを教えて下さるのは、やはり、神である。




25MAR15 048


いつも読んで下さっている皆様、有難う御座います。

福島市松、徹夜する


雀の世界にもいろいろなドラマがある。
彼らもまた、
人間と同じように悩み、喜び、毎日を懸命に生きているのだ。

今回は、
福島市松が経験したある夜の受難エピソードを
夢十夜の余韻の如くに紹介してみよう。





福島市松、徹夜する 夢十夜/おまけ

福島市松のベッドには
柔らかく清潔な藁が敷き詰められ
その心地よさは三ツ星クラスと言っても過言ではない。
暖かい寝床の中でぐっすり眠るという
おそらく人生の中でも最高の幸福に身を浸す為の
物理的な環境の準備は、完璧に出来ていた。
快眠の準備は万端だったのだ。

では何故、市松は今、
眠れる夜に寝返りをうち続けているのか。……?

福島市松には姉がいた。
名をウシという。
丈夫で健康に育って欲しい、という
両親の願いが込められた命名らしいのだが、
どうやらこれは効きすぎたようだ。
福島ウシは、暴れん坊で有名な市松よりも
立派な体格に育っていて
尾張一と言われる雀薙刀の腕前から
「今巴御前」と呼ばれ、恐れられていた。

そのウシが、市松の隣の部屋で
大いびきをかいて熟睡中だ。

ぶぉぉぉぉぉ!
ぶぉぉぉぉぉ!


ウシの鼻の奥あたりからだろうか。
なにか、微妙に緩んだ大太鼓の革が
一定の間隔で激しく細かく、そして力強く振動しているような、
形容し難い重厚な音の荒波が、
寄せてはかえし、寄せてはかえししている。

耐えがたいほどの厚い波長が重なり合った、
闇に響く、否、この世界全体を震わすような、
凄まじい「空間のブレ」の連続。
それが今、市松の睡眠を妨害しているのだ。

ぶぉぉぉぉぉ!
ぶぉぉぉぉぉ!


市松は必死に目を閉じ、
再度、寝返りをうって両の耳を強く塞いだ。
然し、力強い波動は、微塵も減少することなく、
直接、市松の脳を揺さぶってくる。
市松は、たまらず枕を頭に押さえつけた。
その時である。

ぶぉぉぉぉぉ!
ぶぉぉぉぉぉ!
 ぶぶぶ、ぶぶぶぶぶ……

なんだろう、消え入るような音になってきた。
このままおさまってくれれば
何とか眠れそうだ。 
長かった苦難にも
漸く終焉の兆しが見えた。

(一、二と、ふむ。 
 これなら、後三時間ちょっとは寝れそうだ。)


…………


どうやら静かになった。
市松は、安心したいところだったが、どうも変だと感じた。
静寂ではあるのだが、無音の空間ではあるのだが、
何か得体の知れない不幸の可能性が、
ウシのほうから微かにではあるが
漏れている気配があるのだ。。

ぶぼッ!


その時、何かにひっかかっていたリズムが障害物を突き破り、
ため込まれたエネルギーが堰を切って解放されたような、
凄まじい音のエネルギーが
ウシの鼻から爆出した。

それは、あたかも重力崩壊の後に生じた
超新星爆発の如き凄まじい現象と言っても
決して言い過ぎではなかった。 
市松の安息は一瞬のうちに、
理不尽極まりない圧倒的な暴力によって壊滅的に滅せられてしまった!

さて、宇宙誕生の如きこの感動的なイベントは、
市松の精神にとてつもないダメージを与えた。

長時間に渡って苦しめられてきた騒音が
ようやく落ち着くかと思われたその矢先に、
待ち望んだ希望の鼻先に唐突に、
爆発的ないびきの破壊音が響き渡り、
安眠への期待が木端微塵に打ち砕かれたのだ。
市松の精神的ダメージは果てしなく大きい。

そしてその後、
何事もなかったかのように、
ウシのいびきは平常運転を回復する。

ぶぉぉぉぉぉ!
ぶぉぉぉぉぉ!


ぶぉぉぉぉぉ!
ぶぉぉぉぉぉ!



市松は考えた。
ここで姉の部屋に侵入し、鼻のひとつもつまんでやれば、
もしかして、この地獄から或いは解放されるやも知れぬ。

しかし、相手はあのウシである。
天下無双といわれる女豪傑である。
寝ぼけたウシが、
胡桃潰しと呼ばれる必殺のアイアンクローで
市松に襲い掛かってきたならば、
万が一にも彼に生き残る可能性はない。
果てしない地の底に落ちるが如きのゼロである。  

自らの命を掛けてまで、
あのいびきを止める試みを試す意味はあるのか?
藪を突いて蛇を出す行為に明日はあるのか?
否、そもそも出てくるのは蛇なのか?
八頭の大蛇とか、神話レベルの怪物じゃないのか?
今夜一時の睡眠確保と、永眠の可能性とを
秤に掛ける価値などないのではなかろうか!?
市松には、絶望しかなかった。

ぶぉぉぉぉぉ!
ぶぉぉぉぉぉ!


ぶぉぉぉぉぉ!
ぶぉぉぉぉぉ!


ウシのいびきは安定して止まりそうもない。
この「安定して」というのが実に絶望的だ。
文字通り、夢も希望もないし、
何の理屈も話し合いも常識も通用しない。

ウシのいびきの正確で力強い振動、
恰も、重い鎖を投げ出して引き寄せているかのような
重厚な響きの連続は、
確実に市松の脳を覚醒させ
もはや入眠の希望は絶たれている。
時計を見るのが怖い思いだが、
とりあえず市松は目覚ましに手を伸ばした。

その時である、
遠くで一番鶏の鳴き声が聞こえ、
市松は完全に希望を絶たれた。

いや、ウシのいびきを相手に最初から希望などなかったのだ。
市松の敗北は有史以前から決定していた。




その頃、
福島ウシは二枚目で秀才の石田佐吉の夢に
頬を赤らめていた。






01JAN15 MIJOU 001 ICHIMATSU



いつも読んで下さっている皆様、有難う御座います。

花そら夢十夜 第十夜「テットーとテトナレス」 後編


私が夢見た「永遠」。
あっけなく打ち破られた子供が欲するようなその望みは、
ここにも確かな痕跡として形を残している。
この物語は、精神的な成熟に達せない幼稚な私が綴った
たわいもない戯言とも取れるけども、
そこには声をからして叫び続けた
非現実的な夢まぼろしへの必死の呼びかけがあった。
夢とは、時として残酷である。
それを見る者の精神が未熟であれば尚更だ。
併し、私は当時の私を笑う気はない。
今一度、膝を揃えてこの物語を読み返した時に、
その未熟な故の純粋さに感動すら覚えるからだ。


それでは、「花そら夢十夜」最終話、
『テットーとテトナレス』(後編)をお送りいたします。

(因みに、冒頭、花が「暑い」とぼやいているのは
 この物語を最初に掲載したのが八月だったからです。

花そら夢十夜「テットーとテトナレス」(前編)
花そら夢十夜「テットーとテトナレス」(中編)








花そら夢十夜

テットーとテトナレス (後編)




朗読 Silveretta Gratia Hanako さん

hana face1HANA「今日も暑いんじゃが・・・







hana fumu でもまぁ、気を取り直して・・・



後編いってみんぞな!

hana angryHANA「気合いれて!」





で、

SORAの怪しい掛け声のあと

気がつくと
テットーとテトナレスのふたりは


なんと

薄い霧がかかったまっ黒な夜の中に
肩をならべて立っちょっりました。



そこは、明らかに地球上ではない



夢の水車のきしりのような
天球運動の諧音が響く

不思議な不思議な
ぼんやりとした世界じゃったんぞな。







「おや、あたり一面まっ黒びろうどの夜だ。」
「まあ、不思議ですわね。まっくらだわ。」
「いいえ、頭の上が星でいっぱいです。僕たちぜんたいどこに来たんでしょうね。」

「あら、なんだかまわりがぼんやり青白くなってきましたわ。」
「夜が明けるのでしょうか。いやはてな。おお立派だ。あなたの顔がはっきり見える」
「あなたもよ。」

「ええ、とうとう、僕たち二人きりですね。」
「まあ、青白い火が燃えてますわ。まあ地面と海も。」
「ここは空ですよ。これは星の中の霧の火ですよ。僕たちのねがいがかなったんです。」

「ああ、さんたまりあ。」
「ああ・・・」





hana bikkuriHANA「・・・・・・・・・」





HANAsmile03SEP09.jpg


遠い遠い、あの青い霧の火のむこう

環状星雲のあの光の輪のはるか先で


テットーとテトナレスは
ようやく結ばれよりました





この先ふたりは

静かな星の世界で永遠にふたりきり




安らぎの中で幸せに暮らすんぞな・・・








ずっとずっと・・・・・



永遠に 永遠に・・・




・・・












A27JULY12a 064TT

B27JULY12a 068TT










27JULY12a 024ending








シグナルとシグナレス (画本 宮沢賢治)シグナルとシグナレス (画本 宮沢賢治)
(1994/04)
宮沢 賢治

商品詳細を見る

花そら夢十夜 第十夜「テットーとテトナレス」 中編


花そら夢十夜
テットーとテトナレス  中編


朗読 Silveretta Gratia Hanakoさん 

HANA 26MAY07 032HANA「前編あらすじからいってみるかの!」









TT227JULY12a 015intro





HANA majimajimaji

霧が深くたちこめちょるこの夜

月明かりはしずかに降り
この公園の電信柱も草木もみんな寝静まっちょっりました。

二人っきりで暮らしたい

そんな願いを込めて
テットーがほっと息をし
テトナレス小さく息をついたっちゅーその時に

アレがでてきたっちゅ~ワケですぞな。


アレ↓
sora happy







A27JULY12a 046PKN

B27JULY12a 047PKN



sora daishukiSORA「いくでしゅよぉ~!」





sora runaway 2SORA「アルファー!」

27DEC08SORA GYASUSORA「ビーター!」

22MAY11 023SORAfunnySORA「ガムマーアー!」

SORAface29JAN12 142faceaSORA「デールータアアア!」














SORA13DEC11 113


















A27JULY12a 054





B27JULY12a 017







後編」に続く・・・


hana ordinaryHANA「なんじゃこりゃ? ぷす~www






シグナルとシグナレス (画本 宮沢賢治)シグナルとシグナレス (画本 宮沢賢治)
(1994/04)
宮沢 賢治

商品詳細を見る






花そら夢十夜 第十夜「テットーとテトナレス」


夢十夜もいよいよ最終話となりました。
今回は、以前(2012年8月)に掲載したことがあるものですが、
花そら「テットーとテトナレス」を掲載したいと思います。

私の夢、眠りのなかで見る夢と叶わぬ願望を意味する夢、
永遠を夢見た私の願いを込めたのが、
この「テットーとテトナレス」でした。




花そら夢十夜  最終話 

27JULY12a 051tittle





~ 前編 ~








朗読 Silveretta Gratia Hanakoさん

hana ordinaryHANA「ぷす~www」









HANA 23JUN07 089

あるところに
とても仲のよい鉄塔のカップルがありましたぞな。


テットーとテトナレスというこのふたりは、
二人でいられるだけでたいへんに幸福だったんじゃけども

悲しいかな鉄塔である二人は

歩み寄ることも、
手を取り合うことすら出来ない存在じゃったんじゃがなもし~。


そしていつしか二人は・・



HANA majimaji

きっと魂だけでも遠い世界へ旅立って
永遠に一緒に暮らせるようにと願いはじめちょった・・・





A27JULY12a 015tetto

B27JULY12a 016tetto



hana face1HANA「・・・・・・・」



hana uhe

叶わぬ願いとわかっていながら

二人はずっと
祈り続けっちょりました。


ずうっとずうっと天上の星雲よりも、
もっと天上にある小さな火の向こう

青い霧が燃えているその世界の中で

手を取り合って暮らしてゆきたい、と。。



27JULY12a 015STMARY








星はしずかにめぐって行っちょっりました。








HANA majimajimaji



あの赤眼のサソリが東から出て来

そしてサンタマリヤのお月さまが
慈愛にみちた黄金のまなざしに
じっと二人を見ながら西のお山におはいりになった時

テットー、テトナレスの二人は、
祈り疲れてもう眠りにおちそうになっちょったんじゃが

その時






「その願い、ぽっくんが引き受けた! でしゅ!



27JULY12a 040POKKUN







A27JULY12a 046POP


B27JULY12a 047POP





hana horrorHANA「何言うちょんぞなぁ!!」

04SEP08 196SORA「一回言ってみたかったんでしゅよぉぉ~・・」


24JULY12 017forminute







え~・・・

ちょっと収集がつかなくなってので
次回に続きますってことで。。





はたして

テットーとテトナレスの願いはどうなってしまうのかっ!?




緊迫の中編へ!!




シグナルとシグナレス (宮沢賢治絵童話集)シグナルとシグナレス (宮沢賢治絵童話集)
(1993/02)
宮沢 賢治

商品詳細を見る


小さな白いおばあちゃんの夢


さて、一月二十六日「流星の夢」から此処まで
夢の話を八話ほど記してきた。
今回は第九話となる。
全部で十話の予定だ。
言までもなく、これは夏目漱石の「夢十夜」を真似ている。

第九夜の今回は、私の体験した不思議な夢のお話をしてみたく思う。




小さな白いおばあちゃんの夢

2013年9月、私は、そらに続いて花も亡くした悲しみに
最早気力も何もない失意のどん底に打ち捨てられた状態だった。
冷たい驟雨の中、ドブに半分顔を突っ込んだように倒れたまま、
立ち上がる動作どころか、そのきっかけすら掴めない、掴もうともしない、
人の形をした「単なる物」だったのだ。
ショック状態に独特の茫然とした思考に、
現実に在りながら夢のなかを歩いているような
不思議な感覚の毎日を送っていた。
「時間薬」という言葉だけが私の唯一の希望だった。

そんなある日のこと、
私は夜の当直勤務に備えて、日中、睡眠を取っていた。
花とそらがいつも寝ていたリビングのソファーが
その当時の私のベッドだった。
花そらの痕跡が少しでも残っているところに
一緒にいたかったからである。

シャッターを閉めてしまえば
昼間のリビングでも薄暗くなる。
私は浅い眠りと覚醒との間を行ったり来たりしながら、
それでも少しうとうとしていた。

醒めているというには余りに朧で、
眠りというには余りに生気を剰す。
現実の感覚がほんの少しだけ残った
まどろみの中を逍遙していたその時である。
何の前触れもなく、玄関から誰かがすぅと這入ってきた。

私はその時、
静かなその存在をはっきりと感じた。
小柄な人が一人、玄関に立っているのだ。
私は当たり前のようにその姿を眺めていたが、
否、眺めるというのは言葉が少し強すぎる、
閉じている瞼を通りこして、
我が精神に直接映り込んでくるその姿を
感覚で感じていたが、
その存在を確信を以て受容れていた。

やがてその人は、
廊下から、私の眠るリビングに這入ってきた。
薄い霧のような微かな存在でありながら
その気配は確かな現実のものだ。
私は何故か、見てはいけないような、
いや、気付いてはいけないような
気付くと何か悪いような気がして
その間、ずっと、
毛布をかぶって寝たふりをしていた。
閉じた瞼を通しているので
ぼやけた写真のようにしか見えないが、
それは、小柄な、小さな白いおばあちゃんだった。

仄かな、柔らかく滲んだ綿毛のような光に包まれた
その小さなおばあちゃんは、
私の傍らに立ったまま
じっとこちらを見下ろしていた。
顔の表情は、はっきりとはわからないけども、
きっと心配そうな表情だったに違いなかった。
私は気配でそれを感じとっていた。

白いおばあちゃんは
暫くそこに立っていたが、
ふと意を決したように、
かがみこんで私の顔にかかる毛布をめくり
私の顔を覗き込もうとした。

私はその時、どうしたわけか急に起き上がってしまった。
はっとして跳ね起きたのだ。
併しこれは重大な失敗だったようで、
おばあちゃんを大変に驚かせてしまった。

小さな白いおばあちゃんは、一瞬で消えてしまった。

薄暗い現実の部屋は何もなかったかのように静かで、
カチコチと時計の音だけが響くのみであった。


私は暫く茫然として天井を見上げていた。
たった今、自分が体験した不思議な出来事を
ぼんやりと考えていた。
そのうち、私の心に小さなある予感が生じ、
穏やかな波のように揺れながらゆっくりと形を成してゆき、
やがてくっきりとした確信となった。
あのおばあちゃんは花だったのだ……!

花だったに相違ないという、
決して願望の生み出した錯覚ではない驚くべき確信。
花が私を心配し、様子を見に来てくれたのだ。
私はこの不思議な現象をこう解釈し、
そこからまた思い起こしてみれば、
花が言いたかった事も微かながらわかってきた。

嘆き悲しむ私を見ておれず、
花はこう言いに来てくれたのだ。
「花はね、もうおばあちゃんだったの。
 だから仕方のないことだったの。。」
人間に姿を変えていたのは
そのことを伝えたかったからに違いない。…




夢は、
幻想であると同時に紛れもない事実でもある。
だからこういう事があっても
決して不思議とは言えない。
他者から見ればファンタジーにすぎない話であっても、
本人にとっては確固たる現実なのである。
そういった意味では、この話をおとぎ話として片づける事は
誰にも出来ないはずだし、誰も私を笑う事は出来ない。
私は確かにあの日、花に会ったのだ。







まさか、この話を語れる日が来るとは思わなかった。
まこと、時間とは最良の薬である。


いつも読んで下さっている皆様、有難う御座います。

16FEB15 MIYAGASE 061

千代とネルラ、星空に汽車旅をする


雀の世界にもいろいろなドラマがある。
彼らもまた、
人間と同じように悩み、喜び、毎日を懸命に生きているのだ。

今回は、銀河を旅する雀の子らのお話です。





千代とネルラ、星空に汽車旅をする 

人は大地を徒歩し、雀は大空を飛んでいます。
人の世界の汽車が地を進むように、
雀の世界の汽車は空をゆくのです。

今、その雀の汽車に乗って、
二人の少年雀が旅をしています。
二羽は名をそれぞれ、
千代ハイネ、海馬ネルラといいました。

二羽は、
この汽車に乗って何処までも一緒に旅をしようと誓い合いました。
そして、きっとそうなると思っていました。

「みんなの本当の幸いを見つけにゆく。」
「僕たち、何処までも何処までも一緒にゆこう。」
「あぁ、きっと一緒にゆこう。」

二羽はお互いの気持ちを確かめあって、
それから頭上に広がる
群青の星空を仰ぎ見ました。

「僕のおっ母さんがあすこにいるよ!」
ネルラが叫びました。
「僕、ずうっとおっ母さんに会いたかった。」

そこには、ぼんやりと白く煙った星雲の野原が広がっていました。
ネルラは、汽車の窓からほとんど身体の半分を投げ出して、
おっ母さんに向かって大きく手を振りました。
「おっ母さん! 僕だよ! おぼえていらっしゃいますか!」
「あなたのことを忘れた事などほんの一瞬もありませんでした。
 さぁ、迎えに参りました。 私の愛する子よ。
 あなたの時は満ちたのです……。」

その時、輝く光が汽車を包み込み、
千代の目の前は真っ白になって何も見えなくなりました。
段々と視力が回復して
辺りの星空が再び千代の双眸に映り始めた時、
今までネルラが座っていた席には既に彼の姿はなく、
ただ、黒いびろうどばかりがひかっていました。

「ネルラ? ネルラ……!?」

呼びかけても、
最早、信愛なる友はそこにはいませんでした。
行ってしまったのです。
「何故だ、ネルラ。
 僕ら、ずっと一緒にゆこうとあれほど約束したじゃないか……!」

その時、優しいセロのような声が千代にかけられました。
「おまえの友達はね、本当に遠いところに行ってしまったんだ。」




気が付くと、千代の前に中折帽を被った
身なりの正しい紳士が座っていました。
紳士は、セロのような上品な声で
千代に語りかけてきます。

「おまえはもう、ネルラを探しても無駄だ。」
「どうしてです!?」

「僕らは、ずっと一緒にゆこうと誓ったのです。
 どこまでも、どこまでも一緒にゆこうと!
 それなのに何故、ネルラはここにいないのですか?」
「あぁ、そうだ。 みんながそう考える。」

「そして、決して一緒にはゆけない。」




「ネルラはもう逝ってしまった。
 これは自然の法則であり、厳しい決まり事であるのだ。
 おまえはこの掟を決して覆す事は出来ないし、
 またそれを願ってもいけない。」

「何故なら、その願いはおまえを苦しませこそすれ、
 決して救いはしないからだ。」

「受け入れなければいけない。
 そうして、おまえはおまえの切符をしっかりと握りしめて
 この旅を続けなければならないのだ。」

「さぁ、ゆくがいい。
 これからも、本当の幸い、みんなの幸いを探して、
 本当の世界の火や激しい波のなかを
 大股で真っ直ぐに歩いてゆくんだ。。」






「もっと下流かもしれない!」
「灯りをどんどん増やさないと!」
「舟をこちらに回して下さい!」

そう叫ぶ大人たちの声で
千代は目をさましました。
疲れてしまって、丘で休んでいるうちに、
いつの間にか寝ていたのです。
空には、いっぱいに星が広がって
鈴の音のような光をはなっています。

ネルラが川に落ちてから、
真っ暗な川沿いにはたくさんの懐中電灯の光が
行ったり来たりしています。
村の人たちは大人も子供も
総出でネルラを探しているのです。
皆、大声で何かを話しています。

「もう駄目です。 ずいぶん時間がたってしまいました。」
「父親の貴方が何をいうのです!」
「こっちを! もっと下流を!」
「・・・・・・・・・!」
「・・・・・・!」

千代はゆっくりと立ち上がって
ふうと息をつき、
天の川の銀河を見上げました。
その頬を一筋の涙が流れ、
千代は小さく呟きました。
「僕、これからもずっと歩いてゆく。
 きっと見ててください。」


ただ一人、
千代だけがネルラの行った先を知っています。








2014-10-18 18OCT14a




ブルカニロ博士が登場する「銀河鉄道の夜」初期三次稿はこちら(↓)に収録。。

ポラーノの広場 (新潮文庫)ポラーノの広場 (新潮文庫)
(1995/01/30)
宮沢 賢治

商品詳細を見る

前ページ | はなそらDAYz!ホーム | 次ページ