トカトントン 太宰治


トカトントン トカトントン



ちょんこ節の はぁ~♪ ちょんこ ちょんこ♪

と同じくらいに気が抜けるこのフレーズ、

この「トカトントン」とは
太宰治の短編のタイトルで、
その作中に頻繁に出てくるオノマトペ(擬音)です。



この「トカトントン」の主人公、

彼はこれを
昭和20年8月15日正午に聞きました。


この時、
敗戦を告げる玉音放送が流れ

日本中が悔しさに絶望に
涙しており・・


主人公たちは
兵舎の前に整列させられ

徹底抗戦(そしてその後の自決)を訴える
若い将校の演説に聞き入っているところでした。

「我々軍人はあく迄も抗戦を続け、
最後には皆ひとり残らず自決して以て大君におわびを申し上げる。
自分はもとよりそのつもりでいるのだから、
皆もその覚悟をして居れ。」


その将校はこう言い放って
壇上より降りてゆきます。


歩きながら

ボトボトと涙を落とすその姿を見て、
主人公もまた
死を決意します。

厳粛とはあのような感じを言うのでしょうか。
死のうと思いました。
死ぬのが本当だ、と思いました。




しかしこの時です。
どこからともなく

トカトントン トカトントン

という

金槌で釘を打つ音が聞こえてきます。。


それを聞いたとたんに、
眼から鱗が落ちるとはあんな時の感じを言うのでしょうか、
悲壮も厳粛も一瞬のうちに消え、
私は憑きものから離れたようにきょろりとなり、
なんともどうにも白々しい気持で、
夏の真昼の砂原を眺め見渡し、
私には如何なる感慨も、
何も一つも有りませんでした。




そうなんです。
この間の抜けた『トカトントン』という茶々がはいったおかげで・・

主人公は
どっちらけ状態となってしまったのです。


こうして、
ほんのちょっと前までは
命を捨てる覚悟をしていた主人公は



抜け殻のようになって

ぼんやりと故郷へ帰ってゆくこととなります・・・





その2に続く



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