FC2ブログ

ごんぎつね


ごんぎつねごんぎつね
(1998/06)
新美 南吉

商品詳細を見る






はなそらで読む「ごんぎつね」 新美南吉



むかしむかし

ある村の近くの
中山という山の中に

「ごん」という
子狐がいました。


ごんは
森の中に穴を掘って
一人で住んでいました。

母親は?
兄弟はいないのだろうか?


いろいろ考えましたが
作中では「一人ぼっち」
としか語られていません。



孤独がそうさせたのか

ごんは
よく村に来ては
イタズラばかりしていました。

畑の芋を掘り散らしたり
干してある菜種がらや唐辛子を
ダメにしてしまったり・・


HSパパが思うに、
ごんはきっと
一人ぼっちで寂しかったのだと思います。


孤独という闇の中

他人と関係を持ちたいのだけど
どうしていいのか

それがわからない



ごんの不幸は、
イタズラという手段をもってしか
他者との繋がりを保てなかったことかも知れません。


x x x x x x x x x x


こうしたある日

ごんは、
兵十(へいじゅう)という村の若者が
川でウナギを捕っているのを
みかけます。


ごんは、
兵十がちょっといなくなった隙に
ふとイタズラがしたくなり

びくの中のウナギを
まんまと全部逃がしてしまいます。


x x x x x x x x x x


それから数日して
ごんは
兵十の家でお葬式が行われているのを
見ました。


いつも元気のいい顔をした兵十が

うな垂れ
悲しそうに位牌を持っていました。


「ははぁ、亡くなったのは兵十のおっかさんだな・・・」
ごんはそう思いながら
自分の巣穴に帰り

そしてその晩

こう考えました。。

「兵十のおっかさんは病に臥せていて、
最後にウナギが食べたいと言ったにちがいない。
それで、兵十が川で漁をしていたんだ。
ところが、
僕がイタズラをしてウナギを逃がしてしまった。

僕のせいで
兵十はおっかさんにウナギを食べさせることができなかった。
そのままおっかさんは、死んでしまったにちがいない。
ああ、ウナギが食べたい、ウナギが食べたい、と思いながら死んだんだろう。
あぁ、あんなイタズラなどしなければよかった。。」


x x x x x x x x x x


ある日、井戸の傍で
兵十が一人で麦をといでいました。

今までは、貧しいながらも
母親と二人で暮らしていたのですが

兵十はもう、一人ぼっちでした。



ごんはこの時、

兵十の姿に何をみ、
何を思ったのでしょうか。


自分と同じ孤独
その苦しみ



いつもは
真っ赤な顔をして元気な兵十ですが

しかしこの時はきっと、
痩せて枯れそうな雑草のように

弱々しく

ごんの目には写ったことでしょう。


「僕と同じ、一人ぼっちの兵十か。」


x x x x x x x x x x


それからごんは

山で採った栗やマツタケを持って
兵十の家にたびたび行くようになりました。


毎日、毎日、
兵十に気づかれないように

次の日も
その次の日も

ごんは
栗やマツタケを
兵十の家に持って行きました。


x x x x x x x x x x


ある月の夜

ごんは、
兵十と加助というお百姓さんが
こう話しているのを聞きました。

「そうそう、なぁ、加助。」
「この頃、とても不思議なことがあるんだ。」

「何が?」

「おっかあが死んでからは、誰だか知らんが、おれに栗やマツタケなんかを、毎日毎日くれるんだよ。」

「ふうん、誰だろう。」

「それが分からんのだよ。おれの知らんうちに置いていくんだ。」

ごんは、二人の後をつけていきました。

「本当かい。」

「本当だとも。嘘と思うなら明日見に来いよ。その栗を見せてやるよ。」

「へえ、不思議なこともあるもんだなぁ。」

それなり、二人はだまって歩いていきました。


x x x x x x x x x x


ある日
ごんはいつものように栗を持って
兵十の家へ行き

こっそり裏口から入っていきました。


兵十は、その時
物置でなわをなっていたのですが

ふと顔をあげると

なんと、
あのゴン狐が
家に入っていくではありませんか。

「こないだウナギをイタズラしやがったあのごん狐めが、
またいたずらをしに来たな・・・ ようし。」



兵十は立ち上がり

火縄銃をとって火薬をつめました。



そして、
足音をしのばせて近よっていき

今、戸口を出ようとするごんを



ドンと撃ちました。










ごんは、ばたりと倒れ


兵十はかけよってきました。



その時
兵十がうちの中を見ると、



なんと土間に

栗が固めて置いてあるのが目につきました。



「おや?」

兵十はびっくりし、
ごんに目を落としました。

「ごん、おまえだったのか・・ いつも、栗をくれていたのは。」


ごんは、
ぐったりとし


涙の溢れる目をつぶったまま・・・



ゆっくりと うなずきました。





兵十は、火縄銃をばたりと取り落としました。


青い煙が、まだ銃口から細く出ていました。





GON.jpg






この物語、
ごんと兵十のその悲しい運命に
いつ読んでも涙がでてしまいます。


兵十と
気持ちがすれ違ったまま、
その兵十の手にかかってしまうごん

そして
ごんを撃ってしまうという
取り返しのつかないことをしてしまった兵十



世の中とは
かくも不条理なものなのか

その悲しすぎる出来事に
心が苦しくなってしまうのです。



しかし

私達読者にとって
あるひとつの救いがあったことを
皆さまをご存知だったでしょうか?



それは
新美の遺した草稿の中にありました。


『ごんは ぐったりと目をつぶったまま うなずきました』

本文でこうある
この部分が


実は本来、

『ごんは ぐったりと目をつぶったまま うれしくなりました

と、
こうなっていたのです。


これは何を意味するのか?




そうです。

土間に置かれた栗をみて

ごんの気持ちを
そして
今までごんが自分のためにしてくれたことを
全てを悟った兵十


その心に生じた

ごんに向けられた
慈しみ、愛おしさ、感謝の気持ち、

ごんを撃ってしまった悲しみの気持ち、
苦しみ、後悔の念、

兵十の胸をしめつける
全てのその思いが

ぐるぐるとまざわって

やがて
暖かい愛情、慈愛という尊いものとなり

「ごん、おまえだったのか・・・」

という
この言葉にのって

今まさに
意識が薄らいでゆく
ごんの心を

やさしく
やさしく

包み込んだのです。



兵十の気持ちは、
ごんに
しっかりと伝わった。

だからごんは
うれしくなった。






ごんの心は最後に満たされ、
そしてそこに
確かに幸福はあったのです。
HSパパはそう信じたい。


なぜなら
その心の安らぎこそが

ずっと一人ぼっちで生きてきた

この寂しがりやの子狐が・・・



ずっと求めていたものだったのだから。


コピー ~ GON




はなそらで読む「ごんぎつね」


おわり







スポンサーサイト



| はなそらDAYz!ホーム |

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURL:
http://hanasora0526.blog72.fc2.com/tb.php/707-c5932509
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザーのみ)