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熊野古道、現世を歩く


三島由紀夫に「三熊野詣」という小説があり、
折口・・・じゃなくって、何某先生という登場人物が、
熊野について
「木が深く茂ってほの暗い山々の国だから
黄泉の国と連なるように考えられていた」と説明している。

これに加えて、よく見る旅行案内などの写真も
分け入っても青山といった印象の
山に山が重なり見渡す限り全てが山といったものが多く、
しかもその渓谷には霧とも雲ともつかぬ白い海が
広がるのだから、
私は長年、熊野古道とは静寂で薄暗い
神秘に満ちた特別な場所だと思い込んでいた。

正に巡礼道である!などと
したり顔で腕など組んで頷いていた訳だが、
実際の熊野古道は、
明るく陽が燦々と照り、
木洩れ日は(語り部さん曰く)万華鏡のようで、
蝶々が舞い、鳥が唄い、
色とりどりの花が咲き乱れる
イーハトブのような美しい山道であった。


然し真夏という季節が悪かったのか
私にはその風景を楽しむ余裕があまりなく、
なにしろ暑いので
一歩あるくたびに汗がしたたり、
照りつける陽光はじりじりと私を焼いて
さながらオーブンの中のチキンといったところであったが、これは、
和歌山が本州の最南端と実感するには十分な体験だった。

点在する小さな山中の集落を抜け、
村で使う共同の井戸におぉと感嘆の声をあげたり、
無人販売の梅干しを飛びついて買ったり、
顔を拭くタオルをしぼって汗の量に驚いたりしながら進んだ。
それは正に、現世そのものであり、
霧に包まれた静かな古道を粛々と歩むという
私の幻想は見事に破れた訳だが、
この現世の生を大股で真っすぐに歩くという行為にこそ、
生きる意味があるように改めて感じたのだった。

熊野の旅は再生の旅であるという。
私が銀河鉄道に乗るのはまだ先の話だ。




分け入っても 分け入っても 青い山

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本当の世界の火やはげしい波の中を
大股にまっすぐに歩いて行かなければならない。


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夢の鉄道に乗るその日まで・・・

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読んでくださった方、ありがとうございます。
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