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新九郎譚 「名刺」


我らが新九郎君は米国人ばかりの職場で働いています。
右も左も米人だらけで
新九郎君が唯一の日本人でありますので、
日本の組織と取引がある時は
新九郎君が米人たちを引率せねばなりません。

ある時新九郎君は、
新任の米人とその部下を連れて
日本のある組織に着任の挨拶で
出向したのですが、
今回はその時のお話です。

この米人の方、大変真面目な性格で、
とにかく相手に対する尊重の意思を全面に、
日本人的な奥ゆかしい慇懃な態度で接しますので
当然日本人ウケも良く、
あっという間に打ち解けてしまって
新九郎君も、先ずはほっと安心です。

なにしろ、出発前にお辞儀の角度までおさらいするほどの
真面目っぷりですので、へまを踏むような真似はしません。
彼の所属する組織のモットーである
「一人ひとりが外交官のつもりで接せよ」
を忠実に実践し、
日本人側が、ほぉ、とため息をつくほどの
折り目正しい礼儀正しさには
思わず新九郎君も見とれてしまったとのことでした。

挨拶からお互いの経歴の話を経て簡単に今後の話をし、
そして流れで雑談、と、一通りのコースをこなして、
さぁ帰ろう、となった時、
この米人さん、すわ!と、日本社会に欠かせない
一大イベントを思い出して、さっと懐に手をいれます。
そうです、名刺交換を忘れていたのです。

あぁ、そういえば名刺を作ったようなこと云ってたっけ。…
新九郎君は司会進行的な役柄ですので、
いやはや実は、と話を切りだして
米人が名刺を作ってきたことを日本側に伝えます。

ほぉと皆さんが笑顔のなか、
さっと取り出したる米人の名刺に新九郎君は絶句します。
しまった!先にチェックしておくべきだった!

なんとそれは、チープな紙にプリントされてハサミで切った
一目でホームメイドとわかる手作り感たっぷりの一品で、
その米人の立場にそぐわない事、甚だしく、
しかも輝く笑顔で「片手」で差し出しています。

両手!両手!
と、新九郎君が小さく鋭く助言しますが、もう既に遅く、
名刺はすっかり受け取られて、交換の段階にはいっています。
しかもその隣では、お付きの若い部下が、
名刺を持っていないかわりに握手の手を差し出して
日本の偉い人とガッチリ握手までしちゃってます。

新九郎君、もうすっかり慌ててしまったそうですが、
しかしこれが意外とウケたようで、
場はますます和気あいあいの楽しい雰囲気になったとのことでした。
異文化交流というのは、型にはまったやり方に沿うのではなくって
こういったギャップを楽しむのも一つの面白さ、などと、
無関係な私は大笑いしたのでしたが、いやはや、
新九郎君、いつもお疲れ様です。
そして、いつも面白いネタを提供してくれてありがとう!




読んでくださった方、ありがとうございます。
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