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真珠院にて


修善寺での帰り道、
少々時間が早かったので
前から行きたかったお寺に立ち寄りました。

真珠院、という曹洞宗のこちらのお寺には、
八重姫という平安期の
悲しい姫様を祀るお堂があり、
私は思うところあって、
お参りさせていただこうと思いつつも、
なかなか実現しなくって
この日に至っていたのでした。

実在の方の悲劇を物語るのは
非常に気が引けるので簡単に記しますが、
八重姫とは、源頼朝公との悲しい恋の末に
入水なされた伊東家の姫様で
それはそれはお美しい方だったという
伝説が残っています。

夕刻の日が落ちた薄闇、
静謐な趣のなかに
ひっそりとお堂は佇んでおりました。
傍らには、ミニチュアの梯子が
たくさん立てかけてあります。

この梯子に
私は思わず目頭が熱くなりました。

これこそ、
八重姫様が愛されていた証で、
姫様の死が如何に
世の人々の心を痛めたかを
雄弁に語る生きた証拠なのです。

梯子は、姫をお救いしたかった、
という人々の心が形となったものでした。
姫の入水の川は今はもう流れが変わっていますが
当時は深い淵だったそうです。
その場に、せめて梯子があれば、
沈みゆく姫をお救いできたかも知れない…
そういった人々の思いが昇華し、
こうして梯子をお供えするのが
いつしかの流れとなっていったのだそうです。
私はこの悲しくも美しい伝説に
人々の素朴な誠実を見るのです。

1000年の時が経ち、
今は願事成就のお供えと
その意味は変わりましたけども、
それでもかつての痕跡が
こうして残っていることに、
人の世の尊さを感じます。

見上げた先には
真珠院という場所から見るに相応しい
美しい月がそっと浮かんでおりました。


29DEC17 SHUZENJI 024





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