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新九郎譚 「年末」


新九郎譚「年末」

日本で年末と云えば師走と名がつくほどに
忙しいものというのが常識ですが、
我らが新九郎君の職場はちょっと違っています。

新九郎君の部署は
彼以外は皆米人で、
彼らにとっての年末は所謂
<Holiday Season>
ということで…

せわしい日本人から見れば
狂気としか思えない、
ゆるやかなペースで毎日が進行するのだそうです。
それも、
11月終わりの感謝祭から1ケ月間も。

その日の朝も、
背中に炎をまとって励む新九郎君の横で、
米人たちはホットプレート3台と
トースターをフル稼働させて、
パンケーキやソーセージ、卵料理にマフィン、と、
ホリデーシーズン・ブレックファーストを
悠々と楽しんでいたそうです。

しかし、
新九郎君には年内に終わらせたい仕事が
それはもう山ほどもあり、
とてもそんなイベントを
楽しんでいる余裕などありません。
能天気な呼びかけをやんわりと断りつつ、
ただ仕事に集中するのみです。
新九郎君の耳には楽しい歓談は聞こえませんし、
美味しそうな料理の匂いも感じません。

さぁ、その目はいよいよ血走り、頬はこけ、
切羽詰まった典型的な
年末の日本人そのものといった勤労っぷりで
新九郎君はひたすらキーを叩いています。

ところがこんな時、
仕事というのは常に予定通りにはいきません。
しかも、焦れば焦るほど、
進捗は滞るばかりで
時間の割にほとんど進まない現実に
絶望したり、呆れたり、
時には妙におかしくなりながらも、
新九郎君が七転八倒、四苦八苦、
苦心惨憺、喘ぎ、もがきながら、
諦めよう、いやまだいける、なとど
自問自答の戦いを繰り返し、
涙と汗と血の成果を
延々とPCに刻み続けていたその時、

バチッ…!


劇的な音と共にブレーカーが落ち、
新九郎君のPCの画面は真っ黒に。

隣の会議室では、
米人たちが半焼けの料理を前にして
オー!ノー!などと頭を抱えていますが、
新九郎君は最早、もう何も云えずに一瞬放心し、
それから段々と無慈悲な現実を
認識しはじめて、
それでもとにかくブレーカーを戻そうと
あたふたと走り回りますが、
なんと問題はもっと深刻なことがわかり、
結局、修理を担当する部署に連絡して
支援を待つことになったのだそうです。

新九郎君によると、
もう笑うしかなくて大笑いしたとこことでしたが
その笑顔がどれだけ引きつっていたのか…

いやはや彼の人生は常にドラマチックです。




いつも読んでくださっている皆様、有難う御座います。
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