LUKA 前編


女性のアカペラが静かに流れるなかで
コーヒーを飲むだけの情景。
昔そんなCMがあった。
(すこし大袈裟だが)
80年代を生きた日本人なら誰もがおぼえているだろう。

あの不思議に美しい歌声の主は
スザンヌ・ヴェガという米国カリフォルニアの歌手で、
日本でも、まぁ、件のCMソング(「Tom's Diner」という題)もあり
お馴染みだと思うが、
彼女の「LUKA」という曲については
本邦に於いてどの程度の認知度があるのかはわからない。

どれほど理解されたかもわからない。
何故なら、当時、日本ではまだ
子供の虐待という深刻な社会問題が
それほど表面化していなかったからだ。

私の名前はルカ、
(あなたと同じ集合住宅の)2階に住んでいる。
多分会ったことあるよね。


こういった独白で歌は始まり、
最後まで淡々とこの調子で終わる。
そしてこの「淡々と」が、
この歌を
不思議に厳粛にさせている。

ルカに何が起こっているのか。
歌詞はその現実を伝えない。
ただ、
「何も聞かないで」
この言葉を繰り返すのみだ。

「私は不器用だし、馬鹿(クレイジー)だし、」
これはルカが
日常浴びせられている言葉に相違ない。
だから、
「自尊心を以ての振舞いはしないようにしている。」
(日本語にするのは極めて困難ですが、強いて云えば、
 「(ダメな子だから)出しゃばらないでひっそり生きる」
 くらいの意味になると思います、消極の極みだと感じて下さい)

という言葉が実に自然にでてしまう。

これはもう、正常な子供の姿では断じてない。
本来、のびのびとしているべき子供が、
限界を超えて萎縮しきっていることを意味する。

歌は淡々と進行し、
「私は別に大丈夫だし、
 これはまた、ドアにぶつけただけだし」

トいう悲しい説明の後、

「It's not your business. 」
(「あなたには関係ない」という意味ですが、
 「(関係ないんだから)引っ込んでいろ」という
  攻撃的ニュアンスを含みます)

という、この歌で唯一の強い言葉へと続く。
質問への
苛立ちを隠せない印象だ。

そしてまた淡々と進行し、

「どんな調子?(大丈夫?)なんて聞かないで」
「聞かないで」
「聞かないで」
「聞かないで」
「聞かないで」

「(何を言われても黙って)言い返さない」
「言い返さない」
「言い返さない
「言い返さない」
「言い返さない」


この繰り返しで終わる。

冒頭でも触れたが、
「LUKA」は、虐待をテーマとした歌だ。

この深刻さを当時、
どのくらいの日本人が理解していたか。
ポップな伴奏もあって、
その悲しさに気付いた人は
少なかったんではないだろうか?

だとしたら、
「LUKA」の小さな叫びが聞き流されていたのだとしたら、
それはとても残念なことだ。


もしも興味がわいたら
ひとつ聴いてみていただきたい。
私がそうだったように、
事の本質に気付いてからの理解は
心に準備が出来ているだけに、
より深いものとなるはずだ。



YOU TUBE もありますし、
映像のあるプロモーションビデオがオススメです。









いつも読んでくださっている皆様、有難う御座います。



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