渾身の力


前回、幸田露伴について少しふれました。
明治の文学者というと
堅苦しい学者先生といったイメージをお持ちの方も
多くいらっしゃると存じますが、
意外にも彼は精神論者で大変に熱い人だったようです。

HANAsmile03SEP09.jpg花「夏目漱石も熱血じゃがなもし。」

sora happyそら「正岡子規も南方熊楠も、明治はみんな熱いでしゅね!」



そんな一面がちらりと見えるエピソードとして、
娘の文さんに一撃必割の蒔割りスイングを
指導してらっしゃるのは有名です。

うら若き細腕の乙女が一振りの元に薪を割れないのは
私たちから見れば仕方のないことです。
いたわりの言葉の一つもかけるかも知れません。
しかし露伴先生は違います。
一撃で薪を断割出来ない文さんに対して、

おまえはもっと力を出せる筈だ!

と、すごい剣幕で叱責なさいました。
そこには、女だから…などという、
逃げや妥協や甘やかしなど微塵もありません。
鬼神の表情をした露伴先生にこう怒鳴りつけられては
文さんは腹をくくるしかなかったはずです。

では何故露伴先生は怒ったのでしょう。
理由はおそらく単純で、
文さんがその一振りに全力を籠めていないと
見て取られたからでしょう。
ここに、幸田露伴精神論者説を証明する
重大なヒントがあります。

要するにこれは、
何をするにも中途半端ではなく
一挙手一投足に常に渾身の力を籠めろ、
トいう精神論の教えに違いありません。
出来る、出来ない、ではなく、
やろうとする覚悟、
ここに重点が置かれているのです。

「蒔割りといえども侮ることなく
その一撃に渾身の力を籠め、
常に全力という精神的姿勢をを身に染み込ませておけば
それがやがて結果を作る。」
私はこの逸話を勝手にそう解釈して妙に惚れこんでいますが、
然しこれには、
「一瞬一瞬に屹ッと覚悟を決める精神力」と、
「その土台となる絶え間ない緊張」が必要です。
自分はある程度は他人より緊張感を持っている、と信じてはいますが、
まぁ怪しいものですので精進を怠る事は出来ません。
常に露伴先生に見られている、と思わなければなりません。

gakuburusora06DEC09SEKIRO 216そら「プレッシャー!!」

hana ordinary花「ぷす~www」



明治日本。
うら若き娘さんに対してもこの教育的指導。
あの崇高で高潔な精神の秘密は
こんな家庭環境にもあったように思えます。
私はやはり、明治と共に生きてゆきます。







因みに露伴先生は、「おまえはもっと力を出せる筈だ!」に続いて、
なりふりかわまず渾身の力を籠めて斧を振るっている間であっても
女子たる者は美しくなければならない、といった意味の事を
おっしゃっていたと思います。

この一見無茶な父の要求と
それを忠実に実行しようとする娘の姿勢。
此処にも、
美しく気高い明治日本の精神がみられます。



いつも読んでくださっている皆様、有難う御座います。
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