線香の火


夕刻に
一人薄闇の部屋で花とそらに線香をあげた。

直立した線香を
ずっと見つめていると気付くが、
光の加減は決して一定ではない。
薄っすらと呼吸するかのように
脈々と息づいている。
時折灰が崩れて光量が出し抜けに
増すこともある。
まるで生きているかのようだ。

然しやがて、
全ての生命がそうであるかのように、
濃い橙色の光は急速にしぼんでゆき
そして静かに消滅した。

何かの終わりに対して
私はもうひどく敏感になっている。
こんなひっそりとした現象にさえ物の無常を感じ、
命の終焉を重ねてしまう。

この光も私の前から去ってしまうのか、と、
むなしい思いで立ち上がった時、
香炉の底に、
ほんの一点のやわらかな燠の火のような輝きが見えた。

火は健在であった。

「自分は此処に在る」
そう主張しているようであった。




いつも読んでくださっている皆様、有難う御座います。
スポンサーサイト

| はなそらDAYz!ホーム |

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURL:
http://hanasora0526.blog72.fc2.com/tb.php/1816-3118b63a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザーのみ)