真夏の死



蝉の抜殻を見た。

09AUG15 KP 112




長い年月、この蝉はじっと地中で力を蓄え、
そうして漸くこの太陽のもとへ飛びだしてきた。

この地上で、蝉に許された時間は短い。

然しその間、否、だからこそ、
蝉たちは精一杯にその生命の炎を燃え上がらせる。

私には、真夏の青空に響き渡る彼らの大合唱が、
歓びに満ちた生命の讃美歌に聞こえてならない。


同じ道程で、
アスファルト上に動かなくなっている蝉を見た。

もはや命の抜殻となっている事が明白なまでに、
その姿は空虚だ。

仰向けに倒れ、空を見上げたその目には、
かつて飛翔した高みが虚しく映っている。

路上に置き去りにするのは忍びないので、
その身体をそっと草陰に横たわらせた。

持ち上げた時、あまりの軽さに
この身体には最早本当に、生命はないのだと感じた。

然し私は信ずる。
この蝉は生命を生き尽くしたからこそ、
全力を出し切ったからこそ、
こうして軽い身体になってしまったのだ、と。


蝉が生きた真夏に、
ひっそりと、秋は訪れていた。






いつも読んでくださっている皆様、有難う御座います。


* 最新の研究では、成虫になってからの蝉は   
意外と長生きだとわかったそうです。 
たしか一ヶ月くらいとか。。
ちょっと嬉しい気がします。
 
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