紅玉と世忠


紅玉と世忠は
長年を共に過ごした夫婦である。

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紅玉の傍らには常に世忠が在り、
世忠の傍らには常に紅玉が在った。

海も空も太陽も
皆が彼らを祝福し、
二羽がつがいである事は永遠と思われた。

然し、世の理は誰にでも平等に訪れる。

かつて、勇ましく大空を駆けた美貌の鳥にも、
その羽を休める時がきたのだ。
紅玉は静かに目を閉じ、
世忠は一声だけ、鋭く鳴いた。

06AUG15 CHIGASAKI 002c




世忠は一羽となった。
苦しみの中で彼は、
その翼で凡てを振り切ろうと
高く高く、必死に羽ばたいた。

03AUG15 CHIGASAKI 1422b



世忠は、7日の間休みなく飛び続けて、
そして遂に力尽きた。

06AUG15 CHIGASAKI 118


落下してゆく中、
薄れゆく意識の内で彼は考えた。


そうか。 運命とは神の創りしものだ。
私たちはその運命の中で生きてゆくしかないのだ。

私の愛した紅玉。
紅玉という幸福も神から授かった運命であれば、
損失という試練も、又、神から賜りし運命だ。

幸福を享受したのであれば、
この試練も甘んじて受けねばならない。

神は与え、神は奪う。

それがこの世界の理ではないか。



定めを受け入れた世忠の翼に、力がもどった。







世忠は、元の浜に戻った。
そして、死ぬまでこの場所を離れまいと誓った。
紅玉のいたこの浜を
彼は心から愛しているのだ。

世忠は静かに佇み
神は変わらず天にしろしめす。



06AUG15 CHIGASAKI 01203









いつも読んでくださっている皆様、有難う御座います。

今回は、旧約聖書にみられるヨブ記を踏まえて創作しています。


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