あるご老人


ふと立ち寄った神社を歩いていると、
境内の片隅にひとりのご老人が座っておられた。
その神社は高台にあり、
ご老人の座るベンチは
ちょうど町を見下ろす方向に据えられてあり、
ご老人は所々に色づき始めた桜が点在する町を
静かに眺めておられた。

その後ろ姿は、全てを悟って静かに余生を歩む
涼やか聖人のようにも見え、
又、初冬の寒風に揺れる最後の一枚の枯れ葉、といった、
そんな風な悲しみ姿にも見える。
そうだ、この方は「ひとり」なのだ。


私は神社で家族の安寧を祈り、
そしてこのご老人の心の安らぎをも祈った。



お参りを終えて帰る際、
ふと視線を感じてご老人を見ると、
ご老人は、年齢を重ねた者にしか出せない
人懐っこい柔和な笑みを浮かべて
穏やかにこちらを見ておられた。
まるでそのお姿は、
私の心持を遠視しておられたかのようで、
「なぁに、心配には及ばんよ。」
「案外のんびりと暮らしておるよ。」
と、語っておられるかのようであった。


私は一瞬、
ご老人に神通力に似たものを感じ
若干狼狽しかけたが、
すぐに足を止めて、会釈をし、
偉大なる人生の先輩への敬意を示して
その場をあとにした。







いつも読んで下さっている皆様、有難う御座います。
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