小十郎と喜多、君主の仇討を果たす (前篇)


雀の世界にもいろいろなドラマがある。
彼らもまた、
人間と同じように悩み、喜び、毎日を懸命に生きているのだ。

さて今回は、弥助雀が話してくれた
ある姉弟雀のこんな武勇伝を紹介してみよう。






小十郎と喜多、君主の仇討を果たす (前篇)

遠い北のある土地に、梵天丸という立派な雀の若殿がいた。
梵天丸はまだ年少だが、
幼い頃から、師・虎哉宗乙に教え込まれた学問によって、
その人格、もとい、鳥格は見事に研鑽されていた。
ちなみにこの梵天丸の家の家紋は
有名な「竹に雀」であったことから、
由緒正しき武家であることが計り知れる。

さてその梵天丸である。
立派な君主といっても、まだ元服前の子供である。
イタズラ盛りなのである。
ある日、梵天丸は、常軌を逸したきわどい悪戯を思いついた。
傅役である左月斎鬼庭良直の枕に爆竹を仕掛けたのだ。
その驚く様を悪童仲間で見物し、
笑ってやろうという算段だ。

幸か不幸かこの計は見事に成功し、
梵天丸は村の悪童たちと
左月斎が驚き、仰天し、取り乱す様を存分に観察することが出来た。
普段は大いなる威厳をもって梵天丸に接する左月斎が、
目も当てられるほどに恐慌をきたし、
羽を掻き乱しつつ金盥を打ち鳴らして
屋外に飛び出してきたのだ。 これは痛快であった。

併し、納得いかないのは左月斎である。
不条理にこれほどの恥をかかされ、
武士雀として黙ってはおれぬ。
左月斎は、今後のことも考え、教育的指導を梵天丸に施した。
即ち、棒叩きによる折檻である。
梵天丸の尻は、この季節の紅葉の如く真っ赤に腫れた。

さてこの事態を聞き、密に心を燃やす忠臣がいた。
梵天丸と同年代である、側近の小十郎だ。
小十郎は、形の上では臣下であるが
梵天丸の親友的存在でもある。
如何に左月斎といえど、
(筋道の通った措置ではあるが)梵天丸への棒叩きは、
小十郎にとっては許しがたい。
幼い小十郎には、この辺りの道理は理解できぬ。
感情にまかせ、左月斎にとっては迷惑千万、心外極まりない
ある決意をした。

「報復せねばならない。 しかも、最も屈辱的な方法を以て!」


(中編に続く)







いつも読んでくださっている皆様、有難う御座います。

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