井蟹、大海を知る


直径四尺。
ほとんど陽も届かぬ井戸の底が
この蟹、名を源太左衛門という、の世界の全てであった。
源太はそこで王となり、全てが彼に平伏した。
この小さな統治者には、怖いものなど何もなかった。

しかしこの四尺は、彼には狭すぎた。

大いなる野望を抱く蟹は
その支配を井戸の外へ広げんと欲し、
薄暗い井戸の底から
広大な「現実」へと足を踏み出した。
其処で彼が見たものは・・・

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広大な海。 果てしなく広がる世界。
荒れ狂いながら打ち寄せる波は、
芥子粒ほどの源太には巨大すぎる凶暴なエネルギーの塊だ。
その迫力に押されて脚がすくみ、震える。
源太は今、生まれて初めて恐怖した。

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今まで自分がいた世界は何だったのか?
感じていた万能感は幻だったのか?

彼は激しく狼狽し、
醜くうろたえてその場にへたり込んでしまった。

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だが、併し、源太左衛門はやはり王であった。

その気高き精神は絶望や挫折をよしとせず、
挑戦を放棄する事を許さなかった。
戦って戦って戦って、たとえ敗れても、
挑み続けることに意味があるのだ、と、
彼の心の奥底に潜む何かが
突き上げるように語りかけてきた。

源太は、項垂れていた頭をゆっくりとあげた。

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天には太陽が輝き、源太の顔を照らしている。

今や我にかえったこの清々しい蟹は、
小さいが併し力強く、しっかりとこう呟いた。

「よし! ここからがスタートだ。」


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