波枕


海をみながら、こう考えた。

とかくこの世は夢まぼろし。
浮世のことは夢のまた夢だ。

こんもりと盛り上がった大波に乗って
豪快に波乗り遊びを楽しんだ花ちゃん。
崩れた波頭にザブンと飲まれ、
しぶきの中から飛び出してきたあの楽しげな表情。

波が苦手はそらくんは、
ママの付き添いで平和にちゃぷちゃぷ水遊び。
波打ち際で遊ぶ母子を
太陽は静かに見守っていた。

今、過ぎ去った夏を思い出す。

それはまるで、
夢のなかでまた夢を見ていたような
てんで遠い別世界での出来事だったように感ずる。

今年からは花とそらのいない夏だ。

「草枕」によると、
人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもなく、
向う三軒両隣にちらちらするただの人、との事だが、
私たちの場合は少し違う。

人の世、否、私たちの世を作ったのは、
花とそらとの生活であった。
全ての煩わしいものを引き抜いた、
ただ花そらとの幸いのみで構成された
詩のような理想郷が私たちの世であったのだ。

今、その花そらはいなく、波の前に一人座っている自分。

無理にでも、
この世の無情を理解させられる。
ひとたび生を享けたものは必ず滅するという理を
受けいらざるとえない。

そう考えている間にも、
波は絶え間なく打ち寄せてきている。

海岸沿いの道を自転車が走り、
沖には漁船がゆき、
見上げた上空には海自の救難飛行艇US-2が飛ぶ。

私たちの事情に関係なく、
どうやら今日も
世界はせわしく動いているようだ。














とは言え、実は意外とあちこちにいる花そらです。

A122AUG14 FJ 042


B226MAY14 IZU HEDA 021


C322AUG14 FJ 048





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