花そら公園巡り ~藤沢市 引地川親水公園 ~ その6


花そら公園巡り 
「藤沢 引地川親水公園」 その6




この公園からの帰り道に
よく通ったラーメン屋さんがある。

午前中にたっぷりと公園をお散歩し、
その帰りにこちらで
腹ごしらえしていくのが楽しみだった。

疲れて、車の後部座席でよく眠っている花とそらに
「ちょっと待っててね。」
と、声をかけると

花をぶぅぅ~と鼻を鳴らし
そらは安らかな寝息でこたえてくれた。




花とそらのいた日々はもはや遠く、今、私は一人だ。

あの日々を思いながら食べるラーメンに
悲しみが込み上げてきて

必死に涙をこらえながら
麺をすすった。

早い午前中の時間、
店内には若い店員さんが一人。
黙々と何かの作業をなさっている。

いつもの変わらぬ寡黙な若者が
いつもと変わらず静かに真面目に働いている。

私はこの思い出のラーメンを食べ終えるに近づくにつれ、
もしかしたら外には
いつも通りに我が家の愛車があり、
いつも通りに花とそらが後部座席で寝ているのではないか、と、
そんな想像、錯覚、否、「願望」に浸っていた。

然しそれは、この現実を再認識させるだけの、
苦しみを増やすだけの不毛なものでしかなかった。

もとより承知している。

現実はわかってはいるのだが、
夢を見ずにはいられないのだ。

花とそらのいたあの日々が
懐かしくてたまらないのだ。



食事を終え、店の外へ出た。

そこには、
乗ってきた赤い自転車が
冬の冷たい風に吹かれて

ひとり、私の帰りを待っていた。


花とそらはもういない。
ずっと遠くへ行ってしまった。

みんながカムパネルラと一緒に行きたいと望むけれども
決して一緒には行けないのだ。


この現実をしっかりと受け止め
私はこれからまた走りださなくてはならない。

風の強い冬の空に
薄い雲が高くひろがっていた。

私は、「よし、出発だ!」と、
小さく然し力強く言って、自転車をこぎはじめた。

(2014年冬に記す)






花そら公園巡りは、その7へ続きます。

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