窓にのこる鼻スタンプ


花とそらが実在した痕跡は他にも見られる。
例えば車の後部座席の窓だ。
見渡す生活の周囲から
あの子たちの痕跡が日々消えてゆく中、
ここにだけはハッキリとした花そらの「鼻スタンプ」が
たくさんペタペタと鮮明に残っていている。

花とそらは車に乗れば
いつもすぐに寝てしまっていた。
移動の間、
目的地に到着するまではしっかり寝て力をためるのが
あの子たちの調整方法だったのだろう。

併し例外もあった。
海沿いを走る時がそうだった。
海が近づいてくると匂いでわかるのか、
いつの間にかすっくと立ち上がっていて
波や潮風にせわしく足踏みして喜んでいた。
花とそらは海が大好きだった。

あまりにはしゃぐので、少しだけ窓を下げてやる。
そうすると、
そのわずかな隙間から鼻を外へだして、
海の香りを嗅ごうと
大きく鼻を鳴らしていた花とそら。

クンクンクンクン
スーピー スーピー
フンフンフンフン フンフンフンフン
シュピー シュピー

窓に鼻を押しつけるほどに
海を喜んでいたあの子たちの
可愛らしい「鼻スタンプ」の跡が、
今も窓ガラスにのこっているのだ。

その痕跡は、紛れもない幸福の記録である。







いつも読んでくださっている皆様、有難う御座います。


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