花そら公園巡り ~ 海老名市 相模三川公園 ~ その5


花そら公園巡り ~ 海老名市 相模三川公園 ~ その5




乾いた空の下に
一本の木が

aPB260141tl.jpg


最後の一枚となった葉っぱの子を
必死になって繫ぎとめている。


「失うまい、行かせはしまい」

その姿は悲壮を極めるものだ。



bPB260142l.jpg


cPB260145l.jpg




北からの寒風吹きすさぶ中、

葉っぱの子の手を強く握った
その母の力は

いったいいつまでもつのだろうか。





散りゆく葉

残る葉の子も

散るゆく葉











花そら公園巡り「相模三川公園」は、その6に続きます。






風の良寛 (文春文庫)風の良寛 (文春文庫)
(2004/01)
中野 孝次

商品詳細を見る

スポンサーサイト

虚構の春


ある男が、吹雪の夜、家の門口に行倒れていた娘を助けた。
透き通るような肌に真っ赤な唇の不思議な雰囲気の娘だった。

その娘は無口だがよく働いた。
働き者故、
男は娘と所帯を持った。

貧しかったけども幸福な日々が続いた。

そのうちにだんだん暖かくなってくると共に、
美しかった娘は痩せて元気がなくなり、
玉のようだった身体も土気色に衰えて
その生気は日に日に薄れていくようだった。

男は娘を哀れに思い、
少しでも元気になればと
元気のつく食事を作ったり
桜貝の櫛や笄を贈ったりした。

そして、
身体を温めやろうとお風呂を用意した。

たらいにお湯を汲みいれて
娘を湯につからせ、
男は優しくその背中を洗ってやった。

温かいか? 気持ちいいか?
男は真心を込めて、
娘の背中をながしてやった。

しかし娘は何故だか複雑な表情をしており、
やがてしくしくと泣きはじめて
か細い声で
「私が死んでも・・・」
と、何かを言いかけた。

その言葉が終わらぬうちに、
さらさらと不思議な音がして
娘の姿は蜃気楼のように消えてしまった。

たらいの中には、
桜貝の櫛と笄が浮んでいるだけであった。


雪女は・・・

お湯に溶けてしまったのだ。






背中を流してくれる男の優しさのまえに、
ついに自分が誰であるかを言い出す事が出来なかった、この

(悲しい娘)は


果たして天国にゆけたのだろうか?

残された男は
どんな気持ちでその後の人生を生きたのだろうか?



我々がただ知っているのは

愛はその去り際に
容赦なく全てを奪ってゆくという事だけだ。









今回のお話は、太宰治「虚構の春」にある挿話をアレンジしたものです。


虚構の春虚構の春
(2012/09/27)
太宰 治

商品詳細を見る

花そら公園巡り ~ 海老名市 相模三川公園 ~ その4


花そら公園巡り ~ 海老名市 相模三川公園 ~ その4




鳩川という小さな川をはさんで公園東側にある
ちょっとした河川敷の広場。

PB260010ht.jpg



桜が夾立するこの場所には春、
美しい薄紅の回廊が出来上がります。

PB260013ht.jpg


見上げれば

淡い桜色が空に広がり、
天井から
ひらひらとこぼれ落ちてくる
桜の子らが

花とそらを
親しげに歓迎してくれたものでした。


こんにちは、花ちゃんそらくん

よく来てくれたね

今年も会えたね

こんにちは こんにちは・・・




そんな囁きが
春の空気のなかに微かに響き

風に乗って楽しそうに舞い踊る
桜の子らの中を
花とそらは楽しげに進んだのです。





いま、季節は冬です。
足元には枯葉が積もっていました。

PB260012ht.jpg


真っ黒な木たちは
ただ静寂の中に立っているだけで、
辺りには
風に吹かれて飛ぶ枯葉の音だけが幽かに聞こえるだけでした。






一枚、また一枚と、

落ちてゆく葉たちを
悲しみに見送りながら

寒風の中

桜の木たちは何ものも言わず、
じっとこの寒さに耐えています。

必ずやってくる春を
凍えながらじっと待っているのです。







PB260014ht.jpg


PB260018ht.jpg


PB260019ht.jpg






「花そら相模三川公園」は、その5に続きます。


花とそらのみち


歩いてゆこう
花とそらのいた道を

一緒にゆこう
今その姿見えずとも




歌いながら考えた。


そうだ。

この道は
花とそらのいた道。

みんなで歩いた道だ。





PB060011.jpg


PB060021.jpg


PB140019.jpg


PB140050.jpg


PB190011.jpg


PB060093.jpg


PB260127.jpg


PB140074.jpg


PB200160.jpg





気づくこと


青い空を見ると、
心にはった漆黒の靄が晴れてゆくようだ。

渦巻く暗闇を
光の矢が切り裂き

引き千切られた暗黒のデブリは
殺到する太陽光に追い散らされて
あっという間に何処かへ消えてゆく。

そして、その向こうに広がる青空。


誰かが言った。

「青空は牢屋の窓から見たときに最も美しい」


あの青い光の散乱は、
私の心を照らし浄化する。





PB19017014.jpg




明日が来ないとしたら Norma Cornett Marek  (JAN14)


2012年2月に、以下のようなエントリーがありました。
ずっと、いつかくる別れに恐怖していた自分がありました。

あの頃の自分は哀れなものでした。
考えても仕方のない事に恐れおののき、
その時に目の前にあった幸福を見る目が
涙でかすんでいるような状態だったのですから。

だからこそ、

<その幸福を全身で力いっぱいに感じたかった>



遠い、遠い日々です。












花そらで読む

 Tomorrow Never Comes      

             Norma Cornett Marek




当たり前の日常が
明日は来ないとしたら

今日が全ての最後だとしたら


私はいま

 愛する子たちを
   全身でもって抱きしめたい


そして 


HANA09OCT11 431a


SORA09OCT11 343a



そう思っている
   その気持ちを


そっとささやき伝えたい



「ごめんね」「許してね」
   「ありがとう」「大丈夫だよ」と

そう言える時間を持ちたい





そうすれば 

たとえ明日が来ないとしても

今日を後悔することはないだろうから・・・







11FEB12 041norma












最後だとわかっていたなら最後だとわかっていたなら
(2007/06/26)
ノーマ コーネット マレック

商品詳細を見る



花そら公園巡り ~ 海老名市 相模三川公園 ~ その3


花とそらを傍らに抱いて
この美しい相模川を眺めたあの幸福の日々は

容赦ない時の力に押し流されて
遥かな過去のものとなってしまった。


流れゆく時を目の当たりにし

「ゆく河の流れは絶えずして
 しかも元の水にあらず」

この一文がかつてないほどに
いよいよその鋭さをまして、深く、
深く私の心に突き立ってくる。






花そら公園巡り ~ 海老名市 相模三川公園 ~ その3



前回の場所から南下してきました。
この辺りは、所々に急流が見られます。

国道246号線を境に、
北の流れはゆるやかで
南の流れはダイナミック。

相模川のいろいろな表情を
見ることが出来ます。

PB19012214 (2)


川は、何かを囁きながら流れてゆきます。

何百、何千という風鈴が鳴るような
その清んだ声は

私に何を語ろうとしているのだろう・・・



PB19012214 (1)

PB19012614.jpg



流れに浮かぶ泡沫は、
何処からともなく現われては

消え

まるで、生まれては去ってゆく
生命のようです。



川はこの世界そのものに見えます。

その流れは一瞬たりともとどまることはなく、
時の流れそのものです。

そして、時は、
その表面に浮かんでは消えてゆく泡沫たちを

翻弄し、飲み込み、
ある時は、揺り籠を揺らすように優しく扱いながらも
容赦なくためらいなくその姿を消してしまいます。

無力な泡沫たちには、
逆らう事も

<抵抗することすら許されない>


あまりにも一方的です。 残酷です、理不尽です。







嘆いたところでどうにもなりません。
その流れに身を任すしか、
私たちに術はないのです。

諦観の後の悟りには
まだまだ到達出来そうにはありませんが、
今はそう思うようにしています。






さあ、公園にもどりましょう。

PB19014314.jpg




夕陽の中、この道を・・
PB19014914.jpg


花とそらと共に駆けたあの日。。
20130305215000a00bw.jpg







見渡せば


川は静かに流れ
PB19014614.jpg


太陽は眩しく輝いていました。
PB19019414.jpg


この公園は
いつも私に優しくしてくれます。


PB19017014.jpg

ススキの子らが、
力いっぱいに手を振ってくれました。

「元気をだして」

そんな声が聞こえてくるようでした。。









土手の上に風車が見えてきました。
一周して帰ってきたのです。
PB19019614.jpg

今日のお散歩はここまでです。
さようなら、
もう二度とは会えない今日というこの日よ・・・
PB19019814.jpg




広々とした空、心地よい風、
深く育った川沿いの森に

<雄大にそびえる丹沢と 厳しくも優しい相模川の流れ>



車から飛び降り、駐車場を駆け抜け、
橋を渡って公園を目指した花とそらの
あの浮き浮きした姿が、

如何にあの子たちがこの公園を愛したかを
強く物語っていました。



何処を見てもあの子たちの姿を求めてしまいます。
何をみても花とそらを思い出します。
この道にも、あの広場にも、あの木の下にも花とそらはいました。

あの幸福に包まれた、今はもう幻のようになってしまった日々。。


今まで本当にありがとう、相模三川公園・・・
















行く河の流れは絶えずして
しかも本の水にあらず

よどみに浮かぶ泡沫は
且つ消え
且つ結びて
久しくとどまる事なし

世の中にある人と栖と
又かくの如し



2012062514131529bbw.jpg




花そら公園巡り「相模三川公園」は
その4に続きます。




静寂にあって




おまえたち、本当にいないのか?

いまだに花とそらがいないことが信じられず
虚空にそう問いかけることがある。

悪い冗談だろう?
そんなわけがない。

そう言ってみても、
確かにわかっているのだ。

わかっている。

それでも私は
静寂に向かって問い続けなければならない。













| はなそらDAYz!ホーム |